大学では天文部に入っていて根っからの宇宙好きです!
今回は人が住めそうな惑星を3つ紹介します。
火星

見た目は真っ赤ですが水の痕跡が見つかっています。
キュリオシティというNASAの火星探査機が丸まった岩石を発見しました。
昔、火星にも川や海があり水の流れ岩石の角が丸くなったという説が有力です。
また気温は赤道付近では20℃、最も寒いところはマイナス140℃あり、南極と北極にはドライアイスが固体で存在しています。
地球ではドライアイスは放っておくと二酸化炭素の気体になってしまいますが、火星は気圧がとても小さく(地球の0.75%程度)、また気温が低いのでドライアイスが固体として残ります。
かつて水が存在した火星ですが、現在は水の痕跡があるだけで地球のような海や川はありません。
火星は気圧が小さいのでかつて存在した水は沸騰し気体になって宇宙に散ったと考えられています。
また火星には磁場がなく、太陽風を防ぐことが出来ないので放射線が地表に降り注ぎ生命は生きていけない環境と言われています。
NASAが火星に人工の磁場を作り、太陽風を防ぐことが研究されており、写真のように宇宙空間に人工の磁場を発生される装置を置き火星に太陽風が来ないようにすることが研究されています。
人工の磁場を作る 出典:NASA proposes a magnetic shield to protect Mars’ atmosphere
火星は大気がほとんどなく、わずかな大気もほとんどが二酸化炭素なので人が住める環境ではありません。
そこでテラフォーミングして地球のような環境にするという案があります。
方法
- 火星は寒いので温室効果がある二酸化炭素を火星に発生させます。火星には地中、地表に二酸化炭素の固体があるので、それを温めて溶かして温室効果ガスである二酸化炭素を発生させます。
- 微生物や藻類を繁殖させ、光合成により二酸化炭素の濃度の低下と酸素濃度の増加
- 先ほどの人工の磁場を置いて太陽風を防ぐ
★コラム☆
ここで気圧が小さいと水が沸騰する原理について簡単に紹介します。
まず気圧とは何でしょうか?気圧は1平方メートルあたりに働く力のことです。地球では一般に1013hPa(ヘクトパスカル)となっています。Pa(パスカル)は気圧の単位です。h(ヘクト)は×100を表しています。つまり1013×100Pa(パスカル)は101300Paです。
これは1平方メートルあたりに101300N(ニュートン)が働くいう意味です。N(ニュートン)とは力のことで101300Nは地球でいうと約10トンの物を持ち上げるときのかかる力です!
地球では気圧によりかなりの力が働いていることは分かります。
お待たせしました。ここで水の沸騰について考えていきます。
地球と火星に液体の水で満たされた水槽を置きます。水の温度は20℃とします。
地球の場合
水は液体のまま変化しません。当たり前ですよね。
なぜ液体のままなのか?それは大気圧が関係しています。先ほど大気圧によって10トンの力がかかるといいました。
この水槽にも1平方メートルあたり約10トンの力が働いています。
感覚的には大気圧が上から下へ押しているイメージです。一方、液体の水は分子の集まりです。(H2O)この分子は常に水槽の周りを動いています。
動くというとまるで魚が水槽の中を泳いでいるイメージですが、そうではありません。水の分子は四方八方に動き回るので、分子の中には水槽から飛び出すものがいます。
しかし大気圧によって押さえつけられているので水分子は水槽から出ることが出来ません。
ここで水槽の水を加熱して温度を100℃にしたときを考えます。
水の温度が上がると水分子の動きが活発になります。
活発な水分子は大気圧を押しのけて水槽から飛び出し、気体になっていきます。これが沸騰の原理です。
火星の場合
水は20℃でも沸騰し、気体になります。火星の気圧は750Paしかありません。(地球は101300Pa)そのため、火星の大気圧は水槽の水分子を押さえつけることが出来ず、水は気体になります。
ここで疑問が浮かびます。
かつての火星は水が存在していました。
それはつまり大気圧が現在よりも高かったことを示しています。
大気圧は惑星の重力によって決まります。
火星の大気圧が地球に比べ小さいのは、火星の重力が地球に比べ小さいからです。(惑星の質量に依存)
重力が小さい火星でどうやって大気を留めていたのでしょうか?
様々な説がありますが、今後の調査で明らかになっていくと思います。
長くなってしまいすみません・・・
熱の原理についてもっとしりたいかたはこちらがおすすめ
プロキシマ・ケンタウリb
プロキシマ・ケンタウリb 出典:Proxima b, the closest Earth-like exoplanet, is real (pictures) – CNET
赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリを公転するプロキシマ・ケンタウリbという惑星です。
プロキシマ・ケンタウリbはハビタブルゾーン(水が存在できる範囲)にあり、生命がいる可能性があります‼
地球から約4.3光年離れており、プロキシマ・ケンタウリbに探査機を送る計画「ブレークスルー・スターショット」というものがあります。
ブレークスルー・スターショット 出典:Discovery of ‘another Earth’ revs plan for fly-by of laser-propelled spacecraft
この計画で使う探査機は探査機は非常に小さく、そして大量に同じ探査機を作ります。それを宇宙空間で光を当てて加速させます。
速度は約光の20%です。
光の速さは秒速30万キロメートルなので光の20%の速度は秒速6万キロメートルです。
小さくするのはなるべく速く移動できるようにするためであり、また大量に作るのは4.3光年ととても遠いので無事に到着できる可能性を少しでも上げるためです。
1光年 = 光の速さで1年間進んだ距離のこと 1光年は約9兆5000億km 地球から月まで約38万km
観測結果が得られるまでに約50年かかるのでとてもロマンある計画だと思います。
次にこの惑星がどのような環境なのか説明します。
プロキシマ・ケンタウリは赤色矮星(せきしょくわいせい)で太陽より小さい恒星です。
※プロキシマ・ケンタウリは恒星の名前でプロキシマ・ケンタウリbが惑星の名前です。
そのため惑星は恒星の近くを公転しています。
出典:MIT Tech Review: プロキシマb:4光年しか離れていない太陽系外惑星は薄紫色に見えるはず、とNASAの研究者が発表
上の図は太陽系とプロキシマ・ケンタウリを比べたものになります。
プロキシマ・ケンタウリbは水星よりも近い軌道を公転していることが分かります。
赤色矮星とは表面温度が約2000℃であり、太陽に比べ小さく暗い天体です。
恒星と惑星には潮汐ロックというものが働き、常に同じ面を恒星に向けて公転しています。
つまりこの惑星は地球のように1日に昼と夜がなく、常に昼の面、夜の面があります。
光が当たらない面は気温が下がり、常に光が当たる面は気温が上がります。
しかし極寒と灼熱の世界ではなく、大気が存在するので空気が惑星中を循環して気温差はあまり激しくならないと考えられています。
潮汐ロックは身近なところでも起きています。例えば月です。
よって地球から月の裏側は見ることが出来ません。
トラピスト1
トラピスト1 出典:New Clues to TRAPPIST-1 Planet Compositions, Atmospheres | NASA
トラピスト1は赤色矮星でプロキシマ・ケンタウリと同じ種類の恒星です。
トラピスト1の周りに7つの惑星が公転しており、そのうちe,f,gの3つがハビタブルゾーンです。
ハビタブルゾーンとは端的にいうと水が存在できる範囲のことです。つまりトラピスト1のe,f,gには水が存在する可能性があります。
プロキシマ・ケンタウリbと同様に潮汐ロックによって常に同じ面を恒星に向けています。なので環境はプロキシマ・ケンタウリbと似ていると考えられています。
またプロキシマ・ケンタウリbと同様に惑星と恒星の距離は非常に近いです。肉眼で隣の惑星が見れるでしょう。
トラピスト1の惑星からの景色(イメージ)
トラピスト1は惑星間の距離が近いので、仮にこの惑星に降り立ったら肉眼で隣の惑星を見ることができます。
トラピスト1は赤色矮星であり、寿命が約4兆から5兆年といわれています。
寿命めっちゃ長いな!
宇宙が始まってからまだ138億年だぞ
太陽系には様々な惑星があるように恒星にも様々な種類があります。そしてそれぞれの寿命も寿命を終えた恒星がどうなるのかも全く異なります。
恒星についてはこちらの記事にまとめました。
恒星はどうやって生まれるの?逆にどうやって寿命を遂げるの?そもそも恒星に寿命なんてあるのか? 皆さんも同じようなことを思ったことがあるのではないでしょうか? ティロこんにち[…]
仮にこの惑星に生命がいたら人間よりも知能が高い可能性があります。
理由は2つあり,1つ目にトラピスト1の寿命が長いため、進化するための十分な時間があります.2つ目に肉眼で惑星を見ることができるので自分たちが住んでいる惑星が球体であることに早く気が付き、そのぶん科学の進歩が早いと考えられているからです。
宇宙のことをもっと知りたい方はニュートンという雑誌がおススメです!